⑱地球儀を回しながら ニューズウィークNewsweek英語版~大人のやり直し英語~

地球儀を回す、子供がお昼寝しているリビング。30歳からの「世界を知る」の始め方。

子供がお昼寝中のリビングで。

さっきまでアンパンマンの歌が響いていた部屋は、今は驚くほど静かです。

私は一人、テーブルに広げたカラフルな雑誌のページをめくっていました。

『Newsweek』。

かつての私なら、絶対に手に取らなかった一冊です。

(正直に言います。
30歳になるまで、私は世界のことなんて
「一生知らなくてもいい」
と思っていました。)


英検1級を目指そう。

そう決めたとき、一番に突きつけられたのは「英語力」の壁ではありませんでした。

もっと、根本的な欠落。

「私、この世界のこと、ぜんぜん知らない……」

という、どうしようもないほどの無知さでした。

英検の長文を開けば、国際情勢、政治、経済。

「英語が読める・読めない」

以前に、話の前提が1ミリも入ってこない。

(大学受験で日本史を選んだのは、興味があったからではなく、身近で覚えやすそうだったから。
地図は、アメリカと中国とロシアの位置が分かる程度。
そんな私が、パレスチナ問題? 環境政策?……まじか、無理。)


「まずい、無知すぎて効率が悪い・・・」

そう思い、私は週に一度届く『Newsweek』を読み始めました。

最初は図書館で借りていましたが、自分の手でガリガリ書き込みたくて、月3,000円(当時?だったと思う)を払って購読することに。

読み方は、いたってシンプルです。

電子辞書を横に置いて、分からない単語を一つずつ調べていく。

ピコピコ、という静かな操作音だけが部屋に響きます。

多読のコツは「単語をその都度調べないこと」とよく聞いていたけれど、私はあえて調べました。

新しい単語の意味に「へ~」と思いながら進めたかったから。

蛍光ペンで新しい単語をなぞり、時々見返す。

何だったかな?と忘れていたらまた調べる。

人間は気持ちいいほど忘れるので、忘れてもまた調べる。

「へ~」と思う。

その繰り返し。

daily(日刊)でなくweekly(週刊)だったことで余裕をもって読めたのもよかったですね。


ある週の特集に、「牛のゲップ(メタンガス)が地球を温めている」という記事がありました。

「え、牛?」

最初はそんな、少しとぼけた入り口でした。

でも、その背景にある、気候変動のリアルを英語で追っているうちに、不思議な感覚に陥ったんです。

(あれ、私、いま世界とつながってる……?)

それは、学校のテストのために年号を暗記していたあの頃とは、決定的に違う感覚でした。

「覚えないといけないこと」が、「知りたいこと」に変わった瞬間。

そして私は、リビングに地球儀を置きました。

記事に出てきた見知らぬ国を、指差してみる。

「ここか。こんなに遠い国で、今、この問題が起きているんだ。」

ニュースを見ない、社会が苦手な母親だった私が、世界を少しずつ「自分事」として捉え始めていました。


英検1級は、たしかに難しい試験です。

でも、私にとってこの勉強は、単なる資格取得以上のギフトをくれました。

それは、**「世界を見る目」**です。

準1級までは、テキストを何周もすれば届きました。

でもその先は、「外の世界」を見ることが必要だった。

自宅のリビングという狭い空間にいながら、私は、いつの間にか広い世界を旅していたのです。