⑫敵を知る──英検1級の過去問を見て愕然とした話~大人のやり直し英語~

英検準1級に合格するまで、私は英検1級の問題を一度も解きませんでした。

準1級に挑戦していた頃の私は、

「準1級に合格できるか分からないし、合格できてもギリギリなのに、1級なんて無理に決まってる」

と思っていたし、

何より、1級に挑戦するつもりもありませんでした。

でも、準1級に合格したあと、ふと

「じゃあ次は1級かな?」

そんな気持ちが、自然と湧いてきました。


■ 過去問を開いて、衝撃を受けた

そして初めて近所の本屋さんで1級の過去問を開いたとき、心が折れそうになりました。

いや、折れました。

  • 語い:ほぼ全部知らない

  • 長文:内容も構造も複雑で意味が取れない、2行目で脱落

  • リスニング:速度は速くないのに、内容が難しくて頭に入ってこない

語い問題は 1〜2問しか正解できない

長文は「どこから読めばいいの?」というレベル。

リスニングは「何の話?」で終わる。

正直に言うと、

「何から手を付けていいか分からないし、とんでもない時間がかかるかもしれない」

そんな不安でいっぱいでした。


■ でも、そのとき気づいたことがある

私は、当たり前のことを忘れていました。

英検4級で高得点だからといって、

3級の単語を覚えなければ3級では戦えません。

同じように、

準1級で合格したからといって、

1級で少しくらいできるはず、なんて甘い考えだったのです。

そこで私は決めました。

👉 “最初からだ。1から積み上げていこう”

難しい問題集に飛びつくのではなく、

過去問を解くのではなく

まずは1級レベルの土台づくりから始めること。

最初はとにかくインプット。

その覚悟ができました。


■ 若い頃の私なら、きっと逃げていた

もし、もっと若い頃の私なら

  • こんなの無理

  • やめとこう

  • 時間のムダ

とあっさり引き下がっていたと思います。

でも、英検準1級という “絶対無理だと思っていた壁” を越えた経験が、
私の考え方を変えました。

「この私でも準1級に受かったんだから、もしかしたら1級もいけるのでは?」

根拠はゼロ。

でも、なぜか 楽観的に“いつかは受かるでしょ” と思えたんです。


■ 英語学習は「頭の良さ」よりも「気持ち」が大きい

たぶん、その感覚は “技術” でも “頭の良さ” でもありません。

「気持ち」 だったんです。

準1級を勉強していたとき、私は

“受からないと意味がない”

と本気で思っていました。

そして同じように、1級も

“絶対にいつか受かる”

と決めていました。

過程が大切、というのもよく分かるんですが、とにかく結果を得たかった。

この「決める」ということが、大人の英語学習にはとても大切なのだと改めて感じます。

生徒さんを見ていても、「〇月の英検に〇級に受かる!」と決めた子は、背伸びしたり、アップアップしたりしながら、見事合格していっています。


■ 大人の学び直しは、若い頃の学習とまったく違う

大人になってから英語を学び直すと、若い頃とは違う“気づき”があります。

  • 覚えるスピードは遅いかもしれない

  • 忙しくて時間が限られている

  • やめるのが簡単

でも、その代わりに

  • 自分で目標を決められる

  • 自分の好きなスタイルで学べる

こんな強さがあります。

そんな思いも手伝って、とんでもなく高そうな山に登ることに決めました。

学生時代の受験のために単語を覚えないと!やばい!という嫌~な気持ちでもなく、子供の頃の習い事をさせられてブルーな気持ちでもありませんでした。

大人で、英検準1級に合格したタイミングだったからこそ、1級の問題を見ても心折れず

「トライしてみよう」と思ったのだと思います。